「見えない資産」 と 「見える資産」

広い「土地」に「豪邸」を建て、
高級家具」に「高価な食器」、ブランドの「」「バッグ」「毛皮」「宝石」を持つ……
……戦争中の物不足や貧しさを経験した人々は、高度成長期に、 
このようなお金で手に入るものに、とても憧れ、欲しいと思ったようです。
しかし豊かな時代になった今、
お金で手に入るそんなものに、人々はあまり魅かれません。
たとえば、音楽芸術を楽しめる嗜好性、新たな知識を得る喜び、聴くだけでなく自ら演奏する楽しみ、同じような価値観をもつ良質の友、素敵な人間関係…… 
……そのような、お金では手に入らないものへの憧れの方が、より大きくなっているようです。
前者を「見える資産有形資産)」と言い、
後者を「見えない資産無形資産)」と言うのだと、社会学の先生から教えていただいたとき、
まさにピアノを学ぶシニアの生徒さんたちが浮かんできました。
右手と左手が違う動きをするピアノに、
60歳を過ぎてから挑戦できる。
「夢を実現させたい」「憧れの曲を弾きたい」との想いで、
一生懸命に努力できる。
やがて、目には見えないかもしれないけれど、とても素敵な財産を、
心の中に少しずつ貯めていく。 
……そんな姿が浮かんだのです。
60歳からのピアノは、
その人の心を「見えない財宝」でいっぱいにしてくれるものの気がいたします。