2つの対照的な「人生の最期」

向かいのお宅のご主人様が他界。
コロナ禍で家族葬だったので、お線香だけあげさせて頂きました。
奥様とお話をして、とても「素敵な旅立ち」だったことがわかりました。
こんな最期だったそうです。
ご主人様は、ホロヴィッツの弾くピアノ曲がお好きでした。
病室にCDプレイヤーを持ち込み、
ご主人様の耳にイヤホンをあて、ホロヴィッツを聴かせてあげた。
二つあるイヤホンの一方は、奥様と息子さんが代わる代わる耳にあてて一緒に聴いた。
息子さん(医師)が、腕をにぎって脈をとり、
奥様は、一緒に同じ演奏を聴きつつ、静かに旅立っていった。
痛みも苦しみもせず、とても穏やかなお顔で……。
見送った奥様も、とても穏やかな気持ちになった。

とのことでした。
音楽を聴きながら亡くなっていく……
……なんだか理想的な最期ですね。
そんなお話を伺った後、
安倍元首相が銃撃され死亡のニュース。
あまりにも対照的な2つの「最期」に呆然。
どんな最期になるか? は、
それまでの「本人の生き方」で決まるものでもないし、
自分で選べるものでもありません。 
どんな最期にするかを「選ぶこと」は出来ませんが、
でも、「晩年に、ピアノを弾いて心豊かに過ごすこと」は出来ます。
ある生徒さんは、練習していたテキストを棺に入れて旅立っていきました。
天国でも毎日ピアノを楽しんでいることでしょう。
ピアノは、人生の終章を素敵にしてくれるし、
天国に行った後も、楽しい毎日にしてくれる。
……シニア生徒さんたちを見ていると、そう思えてくるのです。
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