私のレッスン史上「最も立派な辞め方」をされた生徒さんがいらっしゃったので、ご紹介します。
「検査の結果、陽性だったので、治療に専念するため退会します」
と伝えにいらした、以前に書いた生徒さん(ナガちゃん)です。
その生徒さんは、こうおっしゃいました。
「今まで、仲間がいつの間にか退会していて、寂しかった。
だから、自分が退会すること、理由などを、
今度のホームコンサートの時、全員の前できちんと伝えたい。」
そこで、11/27第70回ホームコンサートの最後に、
「ナガちゃんから、お話があります。」
と、私は言いました。
ナガちゃんが、立ち上がりました。
ところが、ウウッ……と込み上げてしまい、しばらく声が出ませんでした。
会場は、雰囲気を察して……シーン
でも、気持ちを落ち着かせ、
・自分の病気のこと、
・転移したこと、
・治療に専念したいこと、
・本日でピアノを辞めること
などを、きちんとお話しました。
ナガちゃんは、いつも「人のために……」と考えている方でした。
3.11東日本大震災の時は、
「先生、曲を作ってきました。被災者を応援したくて……」
と、『がんばれ日本』という曲を持ってきました。
今度は、治療をがんばるナガちゃんを、私達が応援したい!
……そう思った私は、
『がんばれ日本』の歌詞を、
『がんばれナガちゃん』に替えて、楽譜を作りました。
その楽譜を、皆さんにお配りして、全員で大合唱♪
歌い終わると、お仲間からも、
「がんばってー!」「がんばれ!」の声援。
目頭をおさえるお仲間も。
ああ、お仲間どうしが強い絆でつながっている……
こんな素敵な退会のシーンを見たのは、初めてです!
シニア生徒さんから、人間としてとても大切なことを学ばせて頂きました。
生の有限性……それは、誰でも同じ。
私も、生徒さんのような立派な人間になりたいものだと、
つくづく思うのでした。