「片手でしか」弾けない人、「両手でしか」弾けない人

【片手好きAさん】
いつも、まず「右手だけ」、次に「左手だけ」練習して、
それが出来たら「両手」で合わせる生徒Aさん。
第1回目のレッスンに来て、こう言いました。
『右手だけ』も『左手だけ』も、弾けるんです。
でも、『両手』になるとグチャグチャ!

 
わかります。
1つのことだけ考えればいいシングル課題(片手奏)より、
2つのことを同時に考えなければならないダブル課題(両手奏)の方が、
はるかに難しいので。
【両手好きBさん】
いつも新曲を、いきなり両手で練習します。
次のレッスンでは、両手でなんとなく弾けています。
ただ、リズムが不正確だったり、テンポが怪しかったり……。
「片手ずつ弾いてみてください。」
と言うと……ボロボロ。
そして、こうおっしゃいます。
右手と左手がパックになっているので、
バラされると、弾けないんです!

各パートが、どんな音楽になっているかよく分からないまま、
メロディーのおまけ的に、伴奏の音を打鍵しているだけのようです。
最初から両手で、リズムもテンポも正確に、曲想もつけて、初見で弾ける。
……が理想ですが、初心者にはなかなか難しいもの。
そこで、「片手好きAさん」には、こう言います。
「ダブル課題は本当に難しいですが、
何度も練習しているうち、ふっと出来るようになります。
一度できれば、あとは容易くできます。
ダブル課題のときの方が脳も活性化しますので、がんばって!」
そして、次回レッスンまでの課題は「両手奏」です。
「両手好きBさん」には、こう言います。
「片手ずつ、メトロノームに合わせて正確に弾く練習をしてください。
オーケストラで、自分はこのパートを受け持っていると思って、
このバスの音を「これ以上素敵に弾けない!」という風に、弾いてくださいね。」
そして、次回レッスンまでの課題は「分解奏」です。
次回レッスンでは、AさんもBさんも、両手で正確に弾けるようになることでしょう。
もし弾けていたら、正確なだけでなく素敵に弾くためのコツをお伝えし、
それを、その次までの課題にします。
手右  手???