「新婚旅行から帰ったその日から、
お姑さんと同居していました。」
と、若い先生方に言うと、
「エーッ?
お正月とお盆に帰省するだけで、
私、ドーッと疲れて帰ってくるのに……。
365日、一緒に住んでいたんですかぁ?
信じられな~い !!」
などと、驚かれます。
でも、本当なのですよ。
1日24時間、365日、一緒に住んでいたのです。
後半の14年間は、二世帯住宅にしたのですが、
前半の16年間は、台所・トイレ・お風呂・すべて一緒の
狭い公務員宿舎で、同居していました。
我ながら、よくやったと思いますが、
きっと、「レッスン」という自分の時間があり、
「どう教えるか?」が頭の中を占領していたため、
世間で言ういわゆる「嫁姑バトル」みたいのにならずに済んだのかもしれません。
晩年に、姑は骨折して、医師から
「寝たきりになるかもしれません」
と宣言されました。
何も出来ない私は、本当に色々と考えさせられてしまったのですが、
思い至った結論は、
「高齢の方にも、ピアノを教えてみよう」
でした。
かくして、シニアレッスンの「実践」や「研究」が始まったのです。
同居していなければ、
きっと今も、子どもにレッスンしているだけだったでしょう。
お姑さんがいたからこそ、シニアの方にレッスンを……
と思うと感慨深く、感謝でいっぱいになります。
さて、お盆。
そのお姑さんを、キュウリの馬・茄子の牛・迎え火でお迎えしました。
お花や果物、おはぎ、お素麺、おにぎり、お団子……色々とお供え。
「どうぞ、ゆっくりしてくださいね♪」
と、心で言いながらお線香をあげると
……なんだか暖かい気持ちになりました。